日記

 7月ですね。梅雨が明けたらしい。
 この頃の私はアルコールをよく摂取しています。
 本当に苦しく、
 自死がはやくふってくればいい。。
 薬が増える日々。明日がくるのが怖い。

 だれか死が幸せだって早く証明して。
 こんなになっても、まだ幸せに拘泥している。

恋患いをこじらせて

 精神病院にぶちこまれてしまいました。ここでの生活はひどく穏やかで、時間がゆっくり溶けていきます。
 けれど私が私であることからは逃げられない。
 心底そう思うから、ここに来るまえに、ちゃんと死んでおくんだった。
 色んな人に色んなことを言われて、それをためらってしまったけど、でも一瞬苦しいのの後にずっと楽になれるんだったら、それを怖がらず、ちゃんとやればよかった。
 病棟は刃物類の持ち込みは禁止です。
 手首を切りたいのに、できない。煙草をすえない。お酒も飲めない。
 そういう感じです。

病院日記 その2

 入院して数日たちました。
 新しい環境への目新しさは次第に薄れて、外界に散らばった焦点は自分のなかへ戻ってくるようです。がんばれなかった私、情けなかった私、あの人に選ばれなかった私。狭い脳みそのなかで、同じシーンを何度も何度も繰り返します。そしてその度に、どうしてがんばって死ねなかったのだろう、とひどく後悔する。手首を切りたくなる衝動は、輪ゴムで手首を弾くことで紛らわす。
 外界から隔絶されて、私にはあの人が必要だって思いは、ますます純化されていくように思います。
「XXさんがいないと生きていけない」
 あの人は困ったように薄く笑って、
「そんなこと言わないで」
 もう百億回リピートしたシーン。
 私の胸のうちを取り出して、あの人に見せつけることができたらいいのに。そうすれば、あの人だって分かってくれるはずだ。私にはあの人が必要だっていうこと。あの人がいないと、ぜんぜん、ダメなんだってこと。私の全部を、あの人が構成しているんだってこと。
 私は自分がひどくダメだと感じる。
 こんなのじゃ、この先、とても生きていけない。

メンヘラ日記 その3

 あの人に選ばれなかった私が憎い。憎くて憎くて仕方がない。
 私が私じゃなくてもっと違う私だったらよかったのに。そうしたらあの人に選ばれた。
 そうでない私なんて死んでしまいたい。
 生きてる意味なんてない。
 ひどく苦しい。ずっと、泣いてばかりいる。どうしたら救われるんだろう。

 私なしで楽しく生きているあの人が憎い。憎くて憎くて仕方がない。
 入院するって聞いて、ちょっとは責任を感じたのだろうか? あの人の胸のうちを覗いてみたい。
 でもぜんぜん気にしてなかったらどうしよう。私はそれが怖い。でもきっとそうなのだと思う。あの人にとって私なんてその程度。それがひどく苦しい。死んでしまいたい。殺してしまいたい。あの人に選ばれなかった私を。

 私、この喪失を、一生ひきずるのだと思う。
 ずっと一生、このままだ。

その4

 ここ数日検査とかなかったのでひま。本を読む気力もなく、ぼーっとしてる時間が多い。その時間いろいろのことを考える。うまくいかなったこと。選ばれなかった私。無力感、所有と喪失、あふれるくらいに眩しかったあの人との時間。たとえば雨降りの新宿。朝いちで出かけた水族館。花やしき近くのラヴホテル。記憶の奔流のあとで私は現実を直視できない。

 というか加害者のいう「つらい」ってつらいのうちに入らなくないですか? とか。
 私の方がその百億倍はつらいんですけど、とか。いろいろ言いたいことはある。
 思い出すのはよしもとばななのエッセイで(たぶん『バナタイム』収録)、長年付き合ってきたパートナーと別れて電撃結婚します! みたいなことを書いてた話。別れを切り出した方だからって、つらくないわけないでしょう、というようなことを言っていた、のだけど。
 でもやっぱり突然別れを言い渡されたパートナーの方がずっとずーーっとつらいでしょ。しかも相手がすぐに別のひとと結婚しますだなんて。私なら絶対ゆるせない。包丁を持ち出す自信がある。

 まー加害者被害者という責任10:0の関係づけができるかどうかは微妙なのだけどさ。喧嘩両成敗という言葉もあるわけですし。でも私はあなたの一言で精神ぶっこわして手首を切るわアルコールに溺れるわ自殺募集の掲示板覗くわでしまいには精神病棟にぶちこまれるハメになっているわけ、と言ってやりたい。お前のそのつらさはつらいのうちに入らない。文句は手首切ってからどうぞ、と。とか考えてたらまたぐちゃぐちゃしてきた。私がいなくても毎日楽しそうなあの人! 絶対不幸になってほしい。

その5

 私が死んだらあの人はどんな顔をするんだろう。
 そんなことばかり考えていた。私、あの人に、もうどうでもいい存在と思われているらしい。
 命と引き換えに、あの人の涙ひとつぶ。それも悪くないかもしれない。
 そもそも、泣いてくれる、だなんて、期待しすぎかもしれない。

 このあいだ人がお見舞いにやってきて、暇なら小説を書いたり絵を描いたりするのはどうか、と助言を残して帰っていった。
 小説、書けるなら書きたいのだけど、どうにも頭がまわらなくて、長い文章を構成できない。
 リハビリに、短いお話でも書こうかなあ。気晴らしに、なるかな。

 人生について考えれば考えるだけ憂鬱になってくる。
 私に必要なのは忘却なんだろうな。あと愛。愛をください。

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