私は私を生きなくちゃ

 このあいだ、すごく疲れていて寝不足でお腹も空いていて、久しぶりに死にたいって思った。自分を傷つけたい衝動にも駆られた。こういうのあると、まだ病気だなぁと思う。でも病気になって一つ学んだのは、死にたいって気持ちはいつか薄れるっていうことだ。やまない雨はないって、あれはたぶん本当。苦しみのまっただなかにいるときには、それを信じることは難しいけれど、けれど今の私はそれを信じてる。
 要は、いかに嵐をやりすごすか、が大事で、簡単な話、嵐のなかで右往左往してもうまくいくことは少ないってことだ。おうちのなかでゆっくり、ちゃんと食事と睡眠をとって、待つ。
 ……と頭では分かっているけれど、実際となると難しい。季節のせいなのかこの頃寝ても寝ても眠くて、眠り病なのかな、と疑っている。
 あの人が甘いことばの一つでもよこしてくれたら、って思う。この頃、あの人といる時間だけが本当で、ほかは全部うそなんじゃないかって思うときがある。あるいは、あの人との時間のためだけに生きているような錯覚。私は私を生きなくちゃ。あの人なしでもやっていけるって、ちゃんと証明しなくちゃ。それに躍起になって、ちょっとだけ疲れる。客観的には幸せなはずなのに、私はばたばたと忙しく、江國香織の『ウエハースの椅子』を思い出す。自然体でいるのって、難しい。


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